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遺言書作成について:初心者ガイド

遺言書作成について:初心者ガイド

遺言書は、財産の処分について、自分の意思を反映させる重要な書面です。遺言書は、基本的に遺言者本人が作成するものですが、遺言書として有効な要件具備が必要なため、専門家に相談しようかと悩まれている方が多いと思います。本ブログでは、必要性を感じ、遺言書を残そうと考えた人に、遺言書の作成について有益な情報を提供します。ぜひご覧ください。

遺言書作成の必要性

遺言書が必要な場合とは

遺言書は自分の財産の処分意思を確実に反映させるための重要な文書です。遺言書があることで、相続人同士のトラブルを未然に防ぎ、財産の分配が円滑に行われます。逆にいうと、法定相続による財産の処分でトラブルが生じないことが明らかである場合に、あえて遺言書を残す必要はありません。

私は、行政書士として遺言書作成についての相談を受けてきましたが、最初の面談で作成の必要性がないことを理解し、作成に至らずに業務が終了することが殆どでした。

しかし、3年程前に、遺言書を残さずに亡くなった私の伯母の相続手続をしたときに、相続人でない人からの遺産分割の要求がされたことを契機に、考えを改めました。

亡くなった方の想いに寄り添うためには、客観的に作成の必要性がないとしても、遺言書を作成べき場合があるということは伝えていこうと思っています。

遺言書が必要な具体例

例えば、子供の配偶者や養子縁組していない再婚の配偶者の子(相続人でない人)に財産を遺したい場合、自宅を特定の子供に譲りたい、特定の宝石や美術品を特定の親族に遺したい場合などには遺言者の意思を反映させるためには遺言書の作成が必要となります。

事業を営んでいる人は、円滑な事業の承継(トラブル防止)のため、社会貢献や寄付を考えている人は、意思を反映させるために、遺言書の作成することは有益です。

再婚家庭では、前妻(前夫)との子供と現妻(現夫)との間で遺産分配が複雑になることが多いので、トラブル防止のため遺言書の作成は有益です。相続人が多数いる場合も同様に遺産分配が複雑になることが多いので、トラブル防止のため遺言書の作成は有益です。

遺言についての基本知識

遺言書の種類(形式)と特徴

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれの特徴を解説します。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で手書きする遺言書のことです。全ての内容を自書し、署名捺印することで法的効力を持ちます。費用がかからず、手軽に作成できるため、多くの人が利用しています。ただし、形式不備や内容の解釈ミスによる無効リスクがあるため、正確な手続きが求められます。2020年の法改正により、自筆証書遺言の財産目録部分をパソコンで作成し、署名することも可能になりました。

公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書で、法的に最も確実で安全な遺言の方法です。遺言者が公証役場に行き、遺言内容を公証人に口述し、それを公証人が書面化します。遺言者と証人二人の立ち会いのもと、内容を確認し署名捺印することで完成します。公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。また、法的に有効であるため、相続争いを防ぐ効果があります。作成には手数料がかかりますが、法的トラブルを避けるための安心感を得られます。

秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま遺言の存在を公証人に確認してもらう遺言書の一形式です。遺言者が自分で遺言書を作成し、署名押印した後、その遺言書を封筒に入れて封印します。その封印された遺言書を公証人の前で提出し、公証人と証人二人がその存在を確認し、公証人が封印に署名捺印します。これにより、遺言の存在が公的に証明される一方、内容は遺言者だけが知ることになります。秘密証書遺言は、内容を他人に知られたくない場合に有効ですが、形式不備や内容に問題があると無効になるリスクがあります。

遺言形式の選択

3種類の形式の遺言書のそれぞれのメリットとデメリットを比較して、自分に適した遺言書の形式を選択することになります。

法的な安全性や内容の秘密保持を重視する場合は公正証書遺言や秘密証書遺言が適していますが、手軽さを求める場合は自筆証書遺言を選ぶことになるでしょう。自分の常況や希望に合う遺言書の形式を選択しましょう。

遺言書の作成について

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、手軽に作成でき、費用もかからないため、多くの人に利用されています。作成にはいくつかのルールがあります。まず、遺言書は全て手書きで記載する必要があります。日付の記入、署名・押印が必要です。内容を具体的に記載することが必要です。最近では、法務局に預けることで、安全に保管することも可能です。自筆証書遺言は、簡単に作成できる一方で、形式や内容に不備があると無効になる可能性があるため、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人の立会いのもとで作成される遺言書で、信頼性が高いです。作成に当たっては、まず、公証役場に予約を入れ、必要書類(財産目録、戸籍謄本など)を用意します。次ぎに公証人と相談し、遺言内容を確認します。作成には2人以上の証人(公証役場で手配も可能)が必要で、公証役場に出向き、公証人が遺言内容を確認し、遺言者と証人が署名します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言書の文面作成に、公証人や証人の立会いが不要な形式の遺言書です。しかし、公証人に秘密賞与遺言書であることを説明してもらわなければなりません。作成の流れは、まず、遺言者が、その遺言書に署名・押印し、その遺言書を封じ、遺言書に用いた印章をもってこれに封印します。次ぎに、遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述し、公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名・押印します。

専門家に相談するメリット

専門家のアドバイス

自筆証書遺言、秘密証書遺言は、無効な遺言書とならないようにするため、形式・内容面で専門家のアドバイスを受けることは有益です。公正証書遺言も、必要書類(財産目録、戸籍謄本など)の準備の依頼から遺言書の内容まで一体的にアドバイスを受けることは有益です。なぜなら、トラブルのない遺贈・相続を実現するために、遺言者の意思だけではなく、受贈者や相続人の立場も考慮した遺言書の作成ができるからです。

行政書士に相談するメリット

専門家の一人である行政書士として、当事務所は、遺言書の内容についてのアドバイスを中心に遺言書作成の相談を受け付けています。法律の専門家としての弁護士や司法書士と違い、一般市民に身近な書類作成のエキスパートとしての行政書士にお気軽にご相談ください。遺言書作成支援にかかる費用について、行政書士の設定している遺言書作成支援にかかる費用は、他の専門家の設定している費用より低く設定されているようです。

遺言書作成の費用

自分で作成する場合の費用

自筆証書遺言を遺言者自身が作成する場合、費用はかかりません。ただし、自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、遺言書1通につき、3,900円かかります。

公正証書の作成には、遺産総額に応じて公証人の手数料として、一般的に1万円から10万円程度、証人手数料も1人あたり5,000円から1万円程度かかります。

秘密証書遺言の作成には、公証人の手数料として、定額で11,000円、証人への費用は、公正証書遺言同様、1人あたり5,000円から1万円程度かかります。

行政書士に依頼した場合の作成費用

当事務所に相談して、遺言書の作成支援を依頼した場合にかかる費用は、遺言者自身が作成する場合にかかる費用に加えて、遺言書の文案提示、作成支援に基本額10万円程度、相続人の調査、戸籍謄本の取得、相続財産の調査、相続関係図・財産目録の作成に1~5万円程度+実費がかかります。

まとめ

遺言書の作成は、自分の財産や意思を確実に伝えるための重要な手続きです。遺言書があることで、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、遺産分配をスムーズに進めることができます。しかし、遺言書作成には一定の手続きや法的要件が伴うため、専門家のサポートが必要となることが多いです。

行政書士は、遺言書作成において非常に役立つ存在です。行政書士に相談することで、遺言書が法律に適合し、形式不備がないことを確認できます。また、遺言書作成に必要な手続きや書類の準備についても、専門的なアドバイスを受けることができます。さらに、行政書士が関与することで、公正証書遺言の作成がスムーズに進み、法的な信頼性も高まります。

遺言書作成の費用についても、行政書士に相談することで明確に把握することができます。相談料や作成料、そして公証役場での手数料など、全体の費用を把握することで、安心して遺言書作成を進めることができます。

最終的には、遺言書作成の必要性を理解し、適切な専門家に相談することで、自分の意思を確実に反映させる遺言書を作成することが重要です。行政書士のサポートを受けながら、安心して遺言書作成を進めていきましょう。